開国記念の式典で世の中が盛り上がる時期というと、世の中の攘夷系組織は首領を始めとした組員の誰もが苛立ち、気の短い者は毎年のように天人を血祭りに上げていた。我が物顔で往来を通っていく彼らへの、そして誇りを失った人民への怒りが一際激しく噴き出るのがこの梅雨の季節だった。
どだい、征服され、殆ど植民地化された状態をまともな神経で祝えというのは無理な話だ。一部に「天人さんが来てから便利な世の中になりましたなぁ」と言うものもいる。天人以後の子供たちにしてみれば、彼らが来るまでの僅かな技術しか持たない暮らしは絵本や物語で見るもので、現在の彼らへと繋がる歴史だという認識を持てないのだろう。
たくさんの人々がそうするように、時代だと割り切って流されてしまえば楽になるのだろう。刀を捨て、武士道を捨て、天人以前の社会が守っていた全てを捨てて、それで、どうする?そうしていたら失わずに済んだとでも?
「どうしたヅラァ、やけに饒舌じゃねーか」